道南民俗学研究会

虚飾を捨てた文章を書きたい。

映画「武士の一分」について

 一分とは日常会話で聞きなれない言葉である。満足が十分だとすれば、これはあるものを成立させる必要要件である。さて、武士の一分とは何か。本懐などと言う晴れがましいものではなく、あはれを帯びた作品であることがタイトルから十二分に察せられる。
 本作には様々な武士が登場する。とりわけ高齢による認知症の傾向が見られることによって人間性の陰影がくっきりと浮かびあがる藩主の「武士の一分」にも最後まで注目したい。

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イスに揺られ暖炉の火を見るともなく、本を開き読むともなく、しばしまどろむひととき