道南民俗学研究会

虚飾を捨てた文章を書きたい。

天狗考

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 諸説ある。諸説はあるが、天狗は大きな意味で山の神である。山の神とは日本神話において国津神を指す言葉である。国津神とは即ち天津神が降臨する以前から、この国土に住まう先住民である。一般には縄文人と考えてよいだろう。
 では国つ神の天狗に、いわゆるユダヤ鼻というべきカギ鼻の特徴が見られるのはなぜか。それとも、単に長い鼻であるのか。鼻の特徴だけでは天狗とは何者であるかはわからならい。

 天狗の鼻が長く、体躯が大きい、赤ら顔という特徴からは北方民族の特徴を有した部族という線も浮上する。縄文時代と言うのは西日本より東日本の方が栄えていた時代であったという指摘がある。東日本に住んでいた人々は当たり前に考えれば北方から来た人々になる。

 天狗についての考察は、大きく言えば日本史上のミステリーと位置付け、じっくりと追っていくこととしたい。
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 先日、小樽の天狗山を尋ねる。この山に古来から天狗が住まうということではなく、明治期に入植した和人が郷愁の内に、小樽の小高い山を天狗山と称したのが始まりとされる。ちなみに頂上にある天狗の館は、ロープウェイに隣接して、無料で入館できる施設である。
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 展示は各地方ごとの天狗の面を分類陳列した上で、小判や詫証文など周辺グッズを並べている。
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 ロープウェイ売店には天狗の面や手ぬぐい、絵馬などのお土産が販売されている。山頂の明るい林の中には、小さいながらも天狗~猿田彦の命~を祀る社が鎮座している。小樽という街を見おろす鎮守の祠という風情で、おらが里の鎮守様といったところだ。4月も下旬というのに山肌は、まだ雪で覆われていた。