道南民俗学研究会

虚飾を捨てた文章を書きたい。

2020-01-01から1年間の記事一覧

アンデス民謡「泣きながら」に和風の歌詞を付ける 

♫提灯(ちょうちん)が 遠くに揺らめいてそよ風さえ躍(おど)る輪 盆DANCE月明り零(こぼ)れ落ち 寄せ返す荒磯浮舟を漂わせ 彼方(かなた)なるモンガータ♫ この曲が世代や民族を越えて、現代風に、煽情的にアレンジされてなお人々の心を打つのは何故…

《息抜き》銭湯の洗い場にて

8月末であるが例年にない暑さを感じさせる日が続いている。それはコロナ太りやマスクのせいもあるが、ひょっとして社会全体が緊張状態を維持していることから生じる息苦しさもあるのではないだろうか。 そんな中、安倍さんが退陣する見込みとなった。代わり…

映画作品〇茶道の奥深さを垣間見せる「日々是好日」

「今日もまた、よい日である。」日々是好日がそういう意味だということは私にもわかる。で、それだけの意味の言葉なのだろうか。 七夕の今日、茶道をテーマとした映画作品である「日々是好日」を見た。奥行きのある映画だと思った。後になって意味が分かる、…

神様、あなたを捜しています/「Pk」より

「PK」は2016年公開のインド映画。主人公は調査目的で地球(の中のインド)に来た宇宙人。 片田舎で服の着方と言葉を習得できた主人公は、義兄弟と別れ、インドの大都会デリ―に単身赴きPK(酔っぱらいの意)と呼ばれる存在に。彼はある探し物をするが、人々…

風は読むものではない、克服するものだ。「神弓」

特に先月は家にいる時間が長くなったことにより、今まで気になりつ見ることができなかった映画を見ることができた。そこで、近くて遠い隣国・韓国映画の「神弓」を見て、主人公の標題のセリフにしびれた。 各国において様々だと思うが、日本において弓は数あ…

地域の風景③トラピスト修道院登るルルドの洞窟からの眺め

海に浮かぶが如き函館山の威容 例年だと道南のゴールデンウィークは丁度、桜の頃である。だから、観光地でもある函館は近隣からの花見客も集まり、土産屋、宿泊関係などはトップシーズンの書き入れ時となる。そして、5月の2週目からは修学旅行生が入りだす。…

現行法による罪は免れようと~SNSによる誹謗中傷~

罪とは何か。哲学的な意味においての罪は個々の人生観が反映される言葉である。一方、刑法的に罪とは、既に定められている法に該当した場合にのみ適用されるものである。即ち、刑法の法文において明確な定めがなければ罪に問いたくても、罪に問われることは…

SNS抗議の加速に対する期待と危惧

いつからか、有権者の貴重な一票と言う言葉に対して疑問を感じるようになった。選挙だけが有権者の意思表示ではないという論説を新聞で読んだ時からだ。議員は当選してから次の選挙に至るまでの間の議員活動が正しく評価されなければならないのに、良くも悪…

疲れた心に効く「悲しくてやり切れない」

映画「あやしい彼女」を見た。女優の歌唱力の高さに驚いた。失礼かもしれないが、むしろ歌手に転向してほしいとさえ思った。 劇中では懐メロである「真っ赤な太陽」や「見上げてごらん夜の星を」などが効果的に挿まれている。これらは単に昭和を代表する歌謡…

いにしえ人の言葉⑦家畜の骨を目印にして砂漠の道なき道を進んだ

「術を使えば天竺迄はひとっ飛びだ」そんな孫悟空の誘惑を彼は頑なに拒絶する。「自ら歩くことに法を求める意味があるのです。」一行は術も使えない非力な人間の存在である彼にどこまでも付き従う。 西遊記の主人公とは誰なのだろう。孫悟空がいなければ、妖…

いにしえ人の言葉⑥私は宋より何も持たずに帰ってきた

潔いと思う。こういう芝居じみたセリフを言えることが潔い。現実に嗣書(釈尊から続く禅の系譜を記した師弟相伝の認定書)など禅の正統性を客観的に証明しうるものは携えてきたはずだが、そのようなものには頼らない。 水戸黄門風に言えば印籠を封印して、最…

物足りなさを余韻として響かせる「アニメ版・君の膵臓を食べたい」

えっ?と思う、インパクトが確かにある。半面、釣りのようなタイトルである。中身がないから、奇抜なタイトルに逃げているような。しかも、タイトルからはストーリの想像がつかない。映画館で見るには「はずれ」の可能性が高い。そう私は判断した。 先日、ア…

いにしえ人の言葉⑤君は古人の言葉を借りて、誤った解釈をしているぞ

虎の威を借る狐。あやふやな自分の考えを言うより、他者の言葉を借りてコメントをした方が正確に自分の考えを述べられているような気がすることがある。 なお言えば人の言葉を借りながら、話を誇張したり、意図的ではないにせよ誤った解釈を述べるというのは…

いにしえ人の言葉④信心の異なるを嘆き、泣く泣く筆を執る。故に歎異抄(たんにしょう)と名付ける

私が関東にいたころ、節分の頃に漁村を訪れたことがある。散歩をしていて海岸沿いの神社の鳥居に干したイワシが巻き付けられていた。これが「イワシの頭も信心から」という諺の由来なのだなと思ったが、そもそも鳥居にイワシを巻き付ける由来までは分からな…

いにしえ人の言葉③私は日本国の大船となろう~風見鶏が啼き始めた風潮の中で~

言論の自由などない時代。僧侶の言葉の破壊力として「俺は海賊王になる!」をはるかに上回っているように感じられる。己が幕府や朝廷をも含めた日本国の船になると言っているのである。しかも立宗前の31才の若造の頃の言葉である。彼は伊勢神宮で、この誓願…

胸を打つ哀愁 インスピレーション(鬼平のエンディングテーマ)byジプシー・キングについて

マイブームと言えば、それまでなのだが、何故か、その時繰り返し聞いてしまう音楽というものがある。そのブームは一週間程度のものだったりして、しかも今知った歌(曲)ではなく、以前から知っていて、深く気にも留めていなかったものだったりする。 その時…

いにしえ人の言葉②果てしもない宙があり、求められるべき安らぎがあり、苦しみを受ける人がいる限り、私の願いもあり続ける。

原文は「虚空尽き 涅槃尽き 衆生尽きなば 我が願いも尽きなむ」、身体の衰弱も見え始めた空海59才の時の言葉(死の3年前)。 私が、この言葉を初めて知ったときは、スケールの大きな言葉を並べているということは分かっても、意味は今一つ分からなかった。お…

いにしえ人の言葉①災難に遭う時は、遭うのがよい。死せる時には、死せるがよい。

良寛(1758 -1831)。江戸時代後期の曹洞宗(禅宗)の僧侶の言葉。号は大愚。本名は山本栄蔵。 良寛には子供との遊びに夢中になる逸話が残されている。和歌や書などにも通じていた。和尚様というより良寛さんという呼び方がイメージによく似合う。冒頭の言葉…

民度・・・あいまいな言葉

コロナ騒動が起こる前、日本人の民度は高いという説を私はしばしば耳にした。しかし、コロナ騒動以降は見聞きすることがない。 断っておけば、私は戸籍も祖先も日本人である。同胞の日本人を貶める気はない。しかし「我々は、世界の中で民度が高い日本人なの…

緊急事態宣言下の函館から

鬼ー隠れたもの。人から生気の抜けたもの。死者、あるいはその周辺にある奇怪なもの。心を失った人。現在の世相を漢字一字で表現するなら何になるのか。ー鬼、だろうか。 コロナウイルスを称して鬼と言えるかー、確かに目に見えず人心を不安にさせるウイルス…

正義を装った怒り

第92回アカデミー賞・主演男優賞に『ジョーカー』出演のホアキン・フェニックス氏が選出された。「ジョーカー」を昨年に見ていた私は確かにという思いを抱いた。鬼気迫る道化師の演技であった。 かいつまんで言えば、同映画で描かれていたものは個人レベルと…

気まぐれ短歌②命のはじめ

まどろみて命のはじめ思ふとき太古の海に差しそむ光 命の初めを私は知らない。三島由紀夫氏は自分が取り上げられた時を記憶していたらしいが、私は生まれたときのことを覚えていない。ただ、命のはじめを考えると怖いという気持ちと愛おしいという気持ちが交…

日本は一つの民族? アイヌの歴史を直視していない見解

最初に断っておくが、これは政治家・麻生氏に対する人格否定ではない。ゴルゴ13など国際情勢・軍事情勢にも明るい人でありながら自国の都合の悪い歴史に無知であることへの深い憂慮である。閣僚ということで自らが日本国の中央にあると認識しているのかもし…

学問とは単に知ることではないー信念の女医・荻野吟子女史 

題は聖書のみ言葉ヨハネの福音書から。「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在らん、もし死なば、多くの実を結ぶべし。」である。(現代語訳は「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、 それは一粒のままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びま…