道南民俗学研究会

虚飾を捨てた文章を書きたい。

2019-01-01から1年間の記事一覧

令和元年 ストーブ火入れ式 於 高田屋嘉兵衛資料館(函館)

灯台下暗しという言葉がある。身近な人や、もの、場所の特異性を見落としがちなことを戒める言葉である。最近の私にとって江戸時代随一の快男児・高田屋嘉兵衛(1769~1827)という函館の基盤を整備した商人が、それにあたる。 もちろん道南に住んでいるからに…

【寄稿】札苅にプロレスが来た!

札苅という小さな町にプロレスの一行が来た。国道から山の手に少し入った小高い所に旧札苅小学校の体育館が見える。以前には円形の校舎が隣りにあった。すぐ側を「いさりび鉄道」が通っている。 9月も半ばを過ぎると、夕方の5時半には一面に夜のとばりが降…

図書館のあり方について

ニューヨーク公共図書館という上映時間の長い映画を見る。午前10時半から14時まで途中に5分間の休憩を挟み、約3時間半(205分)、銀幕に向き合っていたことになる。内容は学術的なドキュメンタリーで苦手な人にとっては30分でも辛いだろう。私の数え間違…

気まぐれ短歌①山姥

山岳信仰という言葉から察せられる通り、古来より山は異界であった。いと清らなかなる山紫水明は神々しくいて尚、心得なき者がみだりに足を踏み入れるべき場所ではなかった。山道を自由に往来できる者は猟師か山伏と相場が決まっていた。 さて、山姥というか…

映画「キングダム」と時代背景

画に主張がある。釣りあがった目、勢いのある線、キャラクターはみな一様に個性が強く、野心を秘めた風貌に見える。服装から彼らが古代中国人だということがわかる。 キングダム、それは虐げられた者たちが共に王座へと駆け上がるような力強い響き。 時は紀…

函館山麓ロマンスー港の灯りと恋唄と

明治以降の函館は国際貿易と日露戦争以降の遠洋漁業で栄え、昭和10年までは東京以北最大の都市であった。昭和15年の国勢調査で初めて札幌市が函館市の人口を上回るのであるが、それは昭和9年に発生した函館大火の影響がある。 函館大火については稿を改め検…

永遠のニシパー主人公・松浦武四郎についての考察

これは重い問い掛けのある作品である。90分ドラマながら、昨今の軽妙な味わいの大河ドラマとがっぷりと四つに組める深い問いがある。 ニシパはアイヌ語で大切な人を指す言葉である。これはもっぱら男性に対して使用される言葉で旦那さんという訳出が相応であ…

八雲山車行列のポスターの変遷

道南の二海(ふたみ)郡に位置する八雲町。日本で唯一、太平洋と日本海に面している街、人口は約一万六千人。特筆すべき産業は酪農です。 「八雲町公式HPより画像引用」」 同町に北海道三大あんどん祭りがあると知り、調査に向かう。「私、熱があるみたい。…

郷土の風景②青葉茂る湯倉神社と発祥の謎

湯の川温泉街は函館空港から約10分ほどの距離にある。その温泉街の東の緑豊かな丘、電車通りと産業道路が交わる交通量の多い地点に湯倉(ゆくら)神社は建つ。別称はお薬師様。向かって神社の右脇に湯倉川が流れている。風水で言う吉相、四神相応の地。 名称…

郷土の風景①重内神社と海峡の展望

この社殿の裏に210段の石段が続いている。学生時代は駆け上がり、駆け降りることができたが、はやる気持ちを抑え、境内の石碑などを見渡してみる。重内(おもない)神社 知内町市街地から車で約五分 御祭神 不動明神 創建明治25(1892)年ころ 御由緒 入植者…

史跡(パワースポット)を訪れる際の心得

体調不良の最中に縄文遺跡である三内丸山遺跡丸山を訪れて、そこに滞在した数時間、一時的に体調が良くなったという話を以前に知人から聞いたことがある。 不調が治ったのかと思ったのも束の間、帰り道では再び体調が元通りにすぐれなくなったとのこと。確か…

天狗考

諸説ある。諸説はあるが、天狗は大きな意味で山の神である。山の神とは日本神話において国津神を指す言葉である。国津神とは即ち天津神が降臨する以前から、この国土に住まう先住民である。一般には縄文人と考えてよいだろう。 では国つ神の天狗に、いわゆる…

4/6 街角より

平成という元号に、良いものも悪いものも背負わして一つの歴史区分が終わろうとしている。田舎の道の駅にも、祝令和と印刷されたA4判の紙が貼りだされ、その下には花などが活けられている。スーパーなどを含めて吉祥改元のような雰囲気が街角には確かにある…