道南民俗学研究会

虚飾を捨てた文章を書きたい。

八雲山車行列のポスターの変遷


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 道南の二海(ふたみ)郡に位置する八雲町。日本で唯一、太平洋と日本海に面している街、人口は約一万六千人。特筆すべき産業は酪農です。

八雲町役場

「八雲町公式HPより画像引用」」

 

 同町に北海道三大あんどん祭りがあると知り、調査に向かう。「私、熱があるみたい。」というフレーズに郷愁を誘われた。小さな町の賑やかな祭り、それは日本の原風景。

 

 何処からともなく聞こえる笛や太鼓の音、祭り半纏を羽織った人々の往来、会場近くにひしめき立つ幟。それらは、ここが非日常の空間へと変化することを示している。

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  当ブログでは趣向を変えて、今回は図書館に展示されていた過去のポスターをダイジェストで振り返ることで、この祭りの移り変わりなどを検証する。

(山車は撮ることではなく見ることに集中していました。)

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第1回目 1983年 主催:若人の集い実行委員会

 開催日が6月20日21日(平日)とあり、これは八雲神社の祭りと同日である。地域に若者が謳歌できる何かしらの活気の場を作りたいという意欲が感じられる。 

 炎ースクラムー光る汗というフレーズは、この後、スローガンのように使用される。

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 第6回目 1988年 主催:八雲山車行列実行委員会へと変化。

後援は教育委員会で変わらないが、協賛組織が発足している。

山車の帰りが農協倉庫から山車保管庫へと変わる。

 

図柄はアイヌと思われる。江戸時代(1800年以降)、函館側から見て八雲町の向こうはアイヌの人々の居留区であり、同町山越内に関所が設けられていた。

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第11回回 1993年 定着の成果か、後援や協賛といった付加情報は既についていない。開催日が土日になっている。あなたもわたしも主役です。という言葉にみんなで盛り上げようという気運を感じる。写真から十分に活況が感じられる。

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第16回目 1998年  北海道三大あんどん祭りの文言が入る。

規模が大きくなってきているからか後援より、協賛の方が先に記載されている。そして、八雲山車実行委員会が公民会内にあることが判明。

いや、すごい人です。

 

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 第25回 2007年  開催日が7月になっている。

 ポスターの図柄はあんどんの図柄でしょうか。日本または中国の女神?

 6月は天候不良日が多く、また冷涼であるため7月に変更。八雲は俗に週の八日が曇りとも言われる地域。そして開催が土・日ではなくて金・土というのもポイントでしょう。

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第28回 2010年 炎、スクラムのスローガン小さくなる。

何でしょう。何か、洗練されすぎてきたというか。

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第32回  2014年  闇に浮かぶ山車。うまいポスター。集大成の感じ。

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第33回 2015年  もはや堂々たるポスター。堂々たる祭り。

定着と思いきや。

 

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第34回 2016年  マンネリの打破、または迷走の始まり。

正直、統一感がありません。面白い感じは伝わる。

 

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第35回  2017年 ついにスローガン消える・・・・

どうした?考えてもみれば35年。組織も入れ替わりが必要な時期。

QRコードが入っている。そして、この筆書きの書体・・・正直ポスターとしてさみしいというか、準備不足だったのか。でも熱は伝わる。

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第36回 2018年 八雲の力、心の力、雲のようなやわらかい心。

 

正直に書きます。お祭りを楽しみにしている子供というのはいいとして、これでは何のポスターなのか不明です。ただ、筆書きの書体は維持されていて、QRコードも継続されています。組織が新生するってこういうことなんだろうと思わせるポスター。

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第37回 2019年 八雲の町が、熱に浮かされる。

マンネリを打破して、新しい一つの型ができてきました。来年のポスターはどうなるのでしょうか。

 

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